分銅の校正の証明書はどこが発行する

分銅は定期的に校正し証明書が必要

分どうは機械ではないものの、さまざまな要因で質量に変化が起こります。分どうはとてもデリケートなものであり、決して素手で触れることは許されませんが、丁寧に取り扱っていたとしても材質や管理環境、使用環境で質量は変化してしまいます。軽量皿と接触することで底面が擦り減っていきますし、目には見えない細かな傷や欠けによっても質量は簡単に変わることは認識しておきましょう。一般企業は計量法によって基準分どうの検査を受けることはできなくなったため、国から認定を受けた専門機関に定期的に校正に出し、不確かさを確定する必要があります。検査の期間はおおむね1~3年に1回ですが、常にどれくらいのズレがあるかを把握しておくためには毎年実施したほうがよいでしょう。専門機関であればJCSSのロゴマークがついた証明書を発行できますので、これによりトレーサビリティ証明書も必要なくなります。

分銅を校正できる認定事業者とは

計量法トレーサビリティ制度は、計量標準を確立し、産業界の質を安定させることが目的です。計量標準を供給する専門の認定事業者は、供給した計量標準が国家計量標準とつながっていることを対外的に証明できる組織です。認定事業者を決めるのは独立行政法人 製品評価技術基盤機構です。そこでの厳しい検査により選ばれた認定事業者だけが、一般企業やユーザーが保有する分どうなどの計量器が国家標準にトレーサブルであることを証明する書類を発行することができます。認定事業者の発行する検査書にはJCSSのロゴマークが入っています。JCSSロゴマークはJapan Calibration Service System の頭文字をデザインしたものですが、認定事業者だけがこのマークの使用を許されており、それがあればトレーサビリティを証明する書類は必要ありません。

分銅の検査は「不確かさ」の確認

認定事業者が証明するのは、「不確かさ」です。とても曖昧な言葉に見えますが、校正は修理ではなく、不確かさを確定する行為だということはあまり認識されていません。不確かさというのは、測定値と真の値との誤差範囲です。例え1gの分銅でも、実際、可能な限り厳密に測定しても、真の値を知ることは事実上不可能です。認定事業者は測定をするうえで測定方法や測定回数、その他あらゆる要素をひとつひとつ抽出し、要因を可能な限り数値化することで不確かさを算出します。「標準不確かさ」ともいいますが、証明する書類には標準不確かさに包含係数kを乗じた拡張数字が記入されます。