適正な分銅の校正周期とは|ツール整備の知識

基準分銅とJCSS分銅の校正周期

分銅は機械ではないのは事実ですが、だからといって精度が狂うことがないという考えは誤りです。条件はさまざまで使用頻度によっても取扱い方によっても変わりますが、材質や管理環境でも質量は変化し、大きなズレを生むことがあります。そのため基準分どうは計量法で校正周期が決められており、F1クラスは3年、F2クラス以下はステンレスや真鍮など鋳鉄以外は5年、鋳鉄は1年となっています。JCSS分どうは基準器とは違って強制された期間はありません。といっても所有者は校正周期を自身で設定し管理する必要があり、目安としてはステンレスや真鍮など鋳鉄以外が3年、鋳鉄は1年というのが推奨される周期です。また実用標準分どうはISO9001で1年に一回以上の検査が求められているため、実務ではスケジュール管理が求められます。

基準分どうとJCSS分どうの豆知識

天びんやはかりの不確かさを計るためには、分どうが欠かせません。分どうは用途で違いがあり、JCSS分どうと基準分どうは区別しておく必要があります。JCSS分どうはJCSSのロゴマークが刻印された証明書のついた分どうを指します。ご存じのとおり、JCSSは「Japan Calibration Service System」のことですから、認定事業者のみマーク付きの証明書の発行が許されていることを認識しておきましょう。認定事業者の仕事は、国からのお墨付きを得て、おもりの不確かさを確定することです。独立行政法人 製品評価技術基盤機構が厳格な審査をし、その業務に当たってよいかどうかを認定します。これに対し基準分どうは、取引や証明に使うはかりを検定するためのものです。独立行政法人 産業技術総合研究所、もしくは都道府県の計量検定所が基準器検査を実施し、検査書を発行します。ただし平成5年に計量法が改正され、基準器検査を受けられるのははかりメーカーか検定所、計量士に限られました。このことで現在は、JCSS分どうが一般事業者にとって唯一の国家認定証明書を発行できる機関となっています。

トレーサビリティ証明書は必要か

分どうを検査に出す場合、トレーサビリティ証明書も求める場合があります。ただしJCSSマークのついた認定書があれば、トレーサビリティ証明書は基本的には不要です。その理由は、JCSSマークがすでにトレーサビリティが取れている証拠になるからです。トレーサビリティ制度というのは「元をたどることができる」、つまり、企業が持っている標準器などが国際標準とつながりを持つことを明確にするためにあります。認定機関が正しく検査し、国家標準にトレーサブルであることを証明するロゴマークつきの証明書があれば、国家計量標準まで間違いなくつながっている確かな証拠となります。